富山・黒部峡谷の紅葉トロッコ旅|風と音に包まれる秋の絶景へ

※掲載内容は取材当時のものです。最新情報をお調べのうえお出かけください。

黒部川が深く刻んだV字の谷。秋が訪れると、その峡谷は紅や黄金の衣をまとい、朝霧に煙る幻想の世界へと変わります。写真では伝わりきらない“空気の色”。富山・黒部峡谷のトロッコ電車に乗る旅は、この季節ならではの贅沢です。

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黒部峡谷

目次

黒部峡谷とはどんな場所?

黒部峡谷は、富山県の東部に位置し、日本三大峡谷のひとつに数えられる名勝です。切り立った岩壁と清流がつくり出す景観は圧巻で、峡谷を縫うように流れる黒部川は「名水百選」にも選ばれるほど澄んだ水をたたえています。

四季折々に美しい黒部峡谷ですが、特に秋は格別! 標高差のある地形のため、色づきが上から下へと波のように降りていき、長い期間紅葉が楽しめます。上流の欅平(けやきだいら)では10月中旬から、宇奈月温泉付近では11月中旬まで。赤や黄のグラデーションが谷を染め上げます。

黒部峡谷 奥鐘橋をわたる人々

トロッコ電車で楽しむ、黒部の秋

この場所を訪れるなら、谷を走る小さな列車――黒部峡谷鉄道の「トロッコ電車」が欠かせません。

宇奈月から欅平までの約20キロを約1時間20分かけて走るトロッコ電車。窓のない開放的な車両に乗り込めば、風の匂い、木々のざわめき、川のせせらぎまで全身で感じられます。

冷たい空気が頬をかすめ、トンネルを抜けるたびに鮮やかな景色が目の前に広がる――その瞬間ごとに、「ああ、日本にはこんな場所があるんだ」と思わず息をのみます。

途中下車も旅の醍醐味。黒薙(くろなぎ)駅では吊り橋を渡って山の湯「黒薙温泉旅館」へ。鐘釣駅では、河原に湧く天然露天で紅葉を見上げながら一休み。終点の欅平では、奥鐘橋を渡ると、真紅に染まる山肌が迫りくるようです。

季節や天気によって表情を変える峡谷は、何度訪れても飽きることがありません。

黒部峡谷 トロッコ電車(正面)

富山駅からのアクセス

黒部峡谷鉄道の始発駅「宇奈月温泉」へは、富山駅からおよそ1時間。アクセスはとてもシンプルです。

富山駅から宇奈月温泉までの行き方(順番でわかる乗り継ぎルート)

1. 富山駅 → 北陸新幹線「はくたか」乗車(約12分) → 黒部宇奈月温泉駅
 ──最短ルート。新幹線の車窓から立山連峰が望めます。

2. 黒部宇奈月温泉駅 → 徒歩で連絡(約3分) → 富山地方鉄道・新黒部駅へ

3. 新黒部駅 → 宇奈月温泉駅(約25分)
 ──山あいの景色が美しく、車窓に小さな集落が点在。

4. 宇奈月温泉駅 → 黒部峡谷鉄道 宇奈月駅(徒歩1分)
 ──トロッコ電車の出発点。温泉街の香りが出迎えてくれます。

黒部峡谷鉄道トロッコ電車 宇奈月駅

紅葉の見頃と服装のポイント

紅葉の見頃は、例年10月中旬から11月中旬。朝晩はぐっと冷え込むので、防寒は必須です。トロッコ電車は窓がないため、風を遮るウィンドブレーカーや薄手のダウンがあると快適に過ごせます。

標高が上がるにつれて温度も下がり、トンネルを抜けるたびに空気が冷たく変化します。その感覚もまた、この旅ならではの臨場感。マフラーや手袋を用意しておけば、冷たい風を心地よく感じながら紅葉の中を走り抜けられるでしょう。

途中下車で立ち寄りたい温泉と絶景

黒部峡谷鉄道の楽しみは、景色だけではありません。途中下車して温泉や散策を楽しむと、旅の深みがぐっと増します。

鐘釣(かねつり)温泉

河原から湧き出る天然の露天風呂が名物。紅葉の下、川のせせらぎとともに湯けむりに包まれる時間は、まさに至福です。水量が多い日は入浴できないこともあるため、現地の案内板を確認して安全に楽しみましょう。

河原露天風呂

黒薙(くろなぎ)温泉旅館

駅から山道を20分ほど歩いた先にあります。吊り橋を渡ってたどり着くその宿は、まさに"秘湯"という言葉がぴったり。谷を渡る風と湯の音だけが響く露天風呂で、時の流れを忘れてしまいます。

欅平(けやきだいら)

散策にも最適な終着駅。奥鐘橋・人喰岩・河原の足湯など、歩いて回れる見どころが多く、紅葉と渓谷のコントラストが際立ちます。運が良ければ、白い蒸気を上げる「猿飛山荘」温泉から湯けむりが立ち上る光景にも出会えるでしょう。

欅平から猿飛峡を見下ろす

宇奈月温泉街でひと息

旅の締めくくりは、宇奈月温泉街でのんびり過ごすのがおすすめです。駅前には無料の足湯「おもかげ」があり、旅の疲れを癒やすにはぴったりの場所。川沿いの散歩道を歩けば、湯の香りとともにやさしい湯けむりが漂います。

宇奈月温泉「おもかげ通り」

【詳細情報】
足湯「おもかげ」|黒部・宇奈月温泉観光局サイト
営業時間:6:00〜22:00(無休)

また、少し足を伸ばせば、YKKセンターパーク内の「CAFE BONFINO」で自社焙煎コーヒーを楽しむこともできます。窓の外に広がる立山の山並みを眺めながら、余韻のひとときをどうぞ。

夜行バスで、朝から紅葉の中心へ

遠方から訪れるなら、夜行バスのご利用がおすすめです。VIPライナーの富山行きは、早朝に富山駅近くへ到着するため、そのまま朝一番のトロッコ電車に乗り継げます。

また、2025年11月25日より新路線がスタート! 「VIPライナー中部国際空港・金沢便」が富山・金沢から名古屋・中部国際空港を結び、一層、利用しやすくなりました。
はじめての直通アクセス誕生 富山・金沢から中部国際空港へ

夜行バス「VIPライナー」は、各席にプライバシーカーテンが付き、光を遮る遮光カーテンや腰ピローなどのアメニティもご用意。バスによって設備は異なりますが、工夫次第で快適に眠れます。

朝の光に包まれた富山駅を出発し、そのまま峡谷へ向かうルートは、限られた時間で紅葉を満喫したい旅行者にぴったりです。

旅をもっと豊かにするヒント

黒部峡谷は、ただ"見る"だけではなく、"感じる"旅。
風の冷たさ、湯のぬくもり、紅葉の香り――そのすべてが思い出になります。

黒部峡谷鉄道の往復きっぷは2日間有効。もし時間が許すなら、1日目は欅平で宿泊し翌日に帰れば、朝と夕方の光の違いを楽しめます。紅葉は太陽の角度によって見え方が変わるため、同じ場所でもまるで別の景色に出会えるでしょう。

トロッコ電車からの眺望

心に残る秋を探して ― 黒部峡谷が教えてくれる"静けさの美"

黒部峡谷の紅葉は、風に揺れる木々の音も、川のせせらぎも、すべてが主役です。
列車に揺られながら、ふと顔を上げた瞬間に目の前いっぱいに広がる色彩は、一生記憶に残ることでしょう。

富山駅から1時間。
朝早くに出発すれば、日が傾く前に紅葉の中心に立つことができます。
秋の旅に迷ったら、ぜひ黒部峡谷へ――夜行バスを上手に使って、朝一番の光とともに出発しましょう。

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