温泉ソムリエ流!のぼせない・ヒートショックにならない温泉の入り方

※掲載内容は取材当時のものです。最新情報をお調べのうえお出かけください。

当コラム編集部で温泉の話をしているときに、一人のメンバーからこんな声が上がりました。

「家のお風呂だと大丈夫なのに、温泉だとのぼせてしまうんです。温泉は雰囲気が好きだけど、どうも苦手で…」

そこで、のぼせないための極意を、温泉ソムリエメンバーからお伝えすることを決意!温泉でのぼせがちな人や、「ヒートショックになるのが怖い」という人は、ぜひご一読ください。

お風呂・温泉でのぼせる女性

まずは「禁忌症」をチェック!

禁忌症(きんきしょう)とは、温泉入浴で体調が悪化する危険のある病気や症状のことで、施設の脱衣所や浴場に掲示してある「温泉分析書」などに明記されています。

平成26年に改正された温泉法によると、

  • 病気の活動期(特に熱のあるとき)
  • 活動性の結核
  • 進行した悪性腫瘍又は高度の貧血など身体衰弱の著しい場合
  • 少し動くと息苦しくなるような重い心臓又は肺の病気
  • むくみのあるような重い腎臓の病気
  • 消化管出血、目に見える出血があるとき
  • 慢性の病気の急性増悪期
と定められています(温泉法第18条第1項の規定に基づく禁忌症及び入浴又は飲用上の注意に掲示等に関する新旧対照表より)。

かつては妊婦さんの入浴も禁忌症となっていましたが、現行では禁忌症に指定されていません。また、禁忌症の場合でも、専門的知識を有する医師の指導があれば温泉療養は可能です。

施設によっては、衛生的な判断から生理中の入浴を断る場合もあるので、生理時にはご注意ください。

「泉質」ごとの禁忌症もある

温泉には「泉質」という分類があります。国内で一番多いのは「単純温泉」で、成分的にどの泉質にも該当せず、湧出時の湯温が25度以上となるものです。
次に多いのが「塩化物泉」で、名前の通り塩分が豊富で、温まりやすく湯冷めしにくいのが特徴です。

この泉質ごとにも禁忌症があります。
強い酸性泉や硫黄泉の場合は皮膚が敏感な人が禁忌症となり、塩化物泉は腎臓病や高血圧の人、また下痢のときは硫酸塩泉、二酸化炭素泉、硫黄泉などに入浴するのを避けるよう指示されています。

以上のように、入浴前は禁忌症をチェックし、症状が当てはまる場合は入浴を控えましょう。

のぼせないために入浴前にやっておきたいリスト

ペットボトルやコップに入った水(ミネラルウォーター)

必ず水を飲もう!

温泉に入浴すると体が温まり、大量の発汗があります。脱水症状などを防ぐため、入浴前の水分補給は入念に!

ミネラルウォーターや麦茶など、カフェインや塩分・糖分を含まないものが理想です。スポーツドリンクは塩分糖分ともにひかえめのものが良いでしょう。アルコールはもってのほかです!

空腹・満腹、どちらも控えるべし!

温泉入浴には意外なほど体力を使います。あまりに空腹の状態で入浴すると、具合が悪くなることもあるでしょう。

ただし、満腹状態でもいけません。胃液の分泌など、胃の活動に悪影響を及ぼし、消化不良をおこす可能性があるからです。

入浴の30分ぐらい前に、小腹を満たすお菓子などを食べておくといいかもしれません。温泉旅館に宿泊するのであれば、座卓などにサービスで置いてある温泉まんじゅうを一個つまんでおくとちょうどいいでしょう。

温泉まんじゅう

運動後、飲酒後の入浴は禁止!

運動のすぐあとに入浴すると、脂肪の燃焼が不十分になります。心臓への負担も増大するので、心臓が強くない人は危険な状態に陥ることも。

また、飲酒のすぐ後の入浴も、アルコールの回りを促進してしまうので危険です。
運動後は30分、飲酒後は2時間ぐらいのインターバルを空けましょう。

入浴時にやっておきたいリスト

温泉でかけ湯をする女性

多めの「かけ湯」がヒートショックを防ぐ

湯おけにお湯をためて体にかける「かけ湯」。汚れを落とすための予洗いとして、マナーとして、なんとなくやっている人も多いかもしれません。

しかし、熱いお湯にいきなり入ると、血圧の急上昇で体に悪影響を及ぼす「ヒートショック」を起こす可能性が高まります。

そこで入念なかけ湯によって、お湯の熱さに体を慣らしていき、体があたたまる速度をゆるやかにして、ヒートショックを防ぐのです。

まずは、汚れが気になる足元や股間を洗い、終わったら手や足など、心臓から遠いところにお湯をかけていきます。次いで、太もも、首筋、お腹、お尻、そして最後に心臓にかけ湯をしましょう。

のぼせ防止に!寝湯・打たせ湯・ベンチ・リクライニングシートを活用

湯船に入るとき、まずはぬるめの浴槽から、体が十分に温まったら、あつ湯に入ります。

長時間熱い湯船に入っているとのぼせやすくなるので、ときどき寝湯や打たせ湯など、体の一部だけの入浴設備を使い、クールダウンを心がけましょう。

さらにベンチやリクライニングシート休憩などで冷却のインターバルを取ると、のぼせにくくなります。

露天風呂へ行くときの注意点

奥飛騨の平湯温泉

冬場の露天風呂には危険がいっぱいです。ヒートショックだけでなく、外の寒さから足早になりやすいので、転倒する危険があるからです。とくに裸の状態で岩風呂で転ぶのは避けたいものです。

まずは体を十分に温め、外気が寒いからといって走らずに、ゆっくり足を進めましょう。

風呂上がり後も水分補給を

温泉入浴でかく汗の量は、およそ300〜500ml。湯上がり後の血液はドロドロの状態です。

入浴後の水分補給も、入浴前と同様にミネラルウォーターやお茶などで取るのが適切です。

 

以上のことを守れば、きっとのぼせやヒートショックが起こりづらくなるはずです。温泉旅行でぜひお試しを!

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