地図の上の妖怪の名前をクリックしてね。妖怪の説明が読めるよ。
- オクポ
- ヤナ
- 袖引き小僧
- 夜道怪(やどうかい)
- チトリ
- 黒塚の鬼婆
- 横瀬の山姥(やまうば)
- 野寺坊(のでらぼう)
- お天狗山の琴平様
- 見越し入道
- だいだらぼっち
- 小豆洗い
- 見沼の竜
- 袈裟坊
- 曼荼羅淵の河童
- 笹井の竹坊伊勢参り
- 宝幢寺の河童
- 沼小僧
- やかんころがし
- 廻淵の蜘蛛
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オクポ
この妖怪は大木に棲息し、夕暮れどきになると奇妙な鳴き声を上げるという。
昔の人はこの妖怪が鳴く山によって、翌日が晴れたり人が死ぬ前触れだとした。
どのような姿をしているのか、どのような声で鳴くのかは一切伝わっていない。 -
ヤナ
一説には龍や大蛇、忍びの一党の名前、個人の名前ともされるが、人に危害を加えることはなく、城が危機の時に現れて手を貸してくれた、との話が残っている。
ある戦の時、城が攻め込まれそうになった時のこと、急に深い霧が現れてついには洪水を起こして寄せる敵を混乱させ、戦を勝利に導いたという。 -
袖引き小僧
夕方になって、薄暗く人通りも少なくなった道を歩いていると、不意に背後から着物の袖を引かれる。驚いて振り返ってみても、そこには誰もいない。
気のせいかと思って再び歩き出そうとするとまた袖を引かれる。
悪さをするわけではないが、少しだけ袖を引いて驚かしてみせる、そんな変わった妖怪が袖引き小僧だ。 -
夜道怪(やどうかい)
埼玉県下のあちこちに現れたとされている妖怪。白装束に行灯をたずさえているか、みずぼらしい身なりで大きな荷物を背負っているという。
夜になると町中を歩き回り、家の裏口や裏窓から入ってきて子供をさらってしまうとされた。 -
チトリ
刃物を持って麦畑に隠れ、人を襲って血を採ってしまうという非常に残虐な妖怪である。
おもに子供を襲って血を採るとされている。 -
黒塚の鬼婆
日本で広く知られる鬼婆は埼玉にもいる。
鬼婆は山の中でさまよう旅人に宿を提供し夜寝た後取って食うと言われている。
埼玉のある地域には鬼婆のモデルとも言える女盗賊もいたそうである。 -
横瀬の山姥(やまうば)
ぼさぼさの長い髪に尖った牙、強い神通力を持っており、時々山を降りては子供をさらうなど悪さをして人々を困らせていた。
ある日偉いお坊さんに捕らえられ松の木に藤蔓で縛り付けられた。
山姥は二度と悪さをそないと誓って前歯一本と奥歯二本を抜いて証としたが、悔しさが止まず「松藤絶えろ、松藤絶えろ」と大声で叫んだという。 -
野寺坊(のでらぼう)
ぼろの法衣をまとって蔦の絡みついた鐘のそばに立つ妖怪として描かれている。
江戸時代の絵師「鳥山石燕(とりやませきえん)」の創作妖怪とされているが、埼玉には基となったと思われる伝説が二つ伝わっている。
一つは「村人を脅かすために鐘を盗んだ男が、通りかかった旅人から隠すために淵に沈めたところそのまま無くなってしまった。以降鐘ヶ淵と呼ばれている」。
もう一つは「ある小僧が住職に頼まれた使いを果たすことができず、責任を感じ鐘ヶ淵に入水してしまった。以降、縁から小僧のすすり泣く声が聞こえるようになった」 -
お天狗山の琴平様
埼玉のある地方には「お天狗山」と呼ばれる山がある。
昔ある修験者が住んでいた。村人たちはこの修験者を「お天狗様」と呼び尊敬していたため彼が修行し暮らしていた山を「お天狗山」と呼ぶようになったという。
お天狗様は酒好きで、家事等の際には鈴の音を鳴らして皆に危機を知らせたそうだ。 -
見越し入道
ある寺の僧が夜道を歩いていると、小柄な女性とすれ違った。夜更けの女性の一人歩きを不審に思っていると後ろからやって来た小僧が僧を追い越そうとした。
小僧に「小柄な女性とすれ違わなかったかと尋ねると「これくらいですか」と両手で小さな輪をつくって示してくる。
「もっと大きい」と答えると「ではこれくらいですか」ともう少し大きく輪を作ってみせる。
「これくらいですか」「もっと大きい」を繰り返すうち小僧はどんどん大きくなり最後には見上げるような大入道になって「これくらいか」と雷鳴のような大声で言った。 -
だいだらぼっち
非常に体が大きく身の丈は富士山に腰を下ろして一休みできるほどだったという。
昔流れが早く危険な川に橋を架けようとしたが、杭を打っても流され橋を架けることが出来ない。そのためこの地に住む人々は川を渡るのに苦労していた。
ある日だいだらぼっちが偶然この地を通りかかり、川のあたりまで来たところ足に痛みを感じた。足の裏を見てみると大きな刺が刺さっていた。だいだらぼっちは刺を抜き川の中に捨てた。
後に村人がだいだらぼっちのいた辺りに行ってみると大きな刺が川の真ん中に深々と刺さっていた。この刺は頑丈だったため、村人たちは橋を架けることが出来た。 -
小豆洗い
川の近くで恐ろしげな声と、ギショギショザクザクと何かを洗うような音が聞こえたら、この妖怪が近くにいる証拠だ。
小豆洗いは主に川に現れ奇妙な歌や音を聞かせて驚かせる妖怪だ。
音のみと言われるが、書物によってはギョロリとした目でかぎ爪のある二本指の妖怪で描かれている。 -
見沼の竜
埼玉のある地方で大規模な干拓事業が行われたが、事故や災難で進まず指揮していた伊沢弥惣兵衛も病気になってしまった。
彼が寝込んでいたところ枕元に女性が現れ「病気を治すので工事を中止して下さい」と語りかけてきた。
弥惣兵衛は幻を見たのではないかと思ったが、下働きの男が寝込んでいる彼の枕元に炎を吐きながら長い舌で体を舐め回す蛇女が座っていたのを目撃したと証言した。
そのため「この女は見沼に住む竜が化けて現れたの」と評判になったという。 -
袈裟坊
橋の付近に袈裟(注:けさ。お坊さんの衣装)をまとった大男の姿で住んでいる。
いたずらが好きで夜道を歩く人を脅かしてからかっていた。
好物は人間の臓物で、は以下の河童が臓物を献上し、褒美として人間を食わせたりもしていたという。 -
曼荼羅淵の河童
埼玉のある川の曼荼羅淵には河童が住んでいた。ここの河童は袈裟坊・竹坊と親しかったが一番の下っ端だったようで、ある時貢物として人のへそを抜いて渡そうとした。
人のへそを抜くのを失敗し、代わりに馬のへそを抜いて貢物にしようとしたところ、馬子(注:馬を使って人や物資を運ぶのを仕事にする人のこと)に見つかり、寺のお坊さんに捕まり説教をされる。
河童は淵をさることを条件に許され、寺に詫び証文を残した。 -
笹井の竹坊伊勢参り
袈裟坊や曼荼羅淵の河童と仲の良かった河童に竹坊というのがいる。
ある時三匹は連れ立って伊勢参り(注:今の三重県伊勢市にある伊勢神宮にお参りに行くこと。江戸時代にはブームになっていた)行った。
人間に化けて行ったのだが、途中の宿で大騒ぎをした時タニシ(注:巻貝で殻口を塞ぐフタを持つ)のフタをお金に変えて飲み食いしていた。
途中でお金がフタだとばれて人間に怒られた。 -
宝幢寺の河童
曼荼羅淵の河童と同じ川にもう一つ河童にまつわる話がある。
この川では牛馬や人間が河童に襲われることが多かった。
ある日一匹の河童が寺の小僧が連れてきた馬を襲ったが失敗し村人たちに捕まってしまう。
しかし寺の和尚に助けられ、諭されて(注:説教されて)心を入れ替えた河童は、和尚の枕元に二匹の鮒を置いて去り、二度と悪さをしなかった。 -
沼小僧
ある沼に沼小僧という大きな河童が住んでいた。沼小僧は時々いたずらをして人々を困らせていたので、土地の有力者が伝来の名刀でもって斬りつけたところ姿を現さなくなった。
しかしその後沼小僧の祟りか、その家に怪異が続き、刀も夜になるとガタガタと震えたため屋敷の一角に祠を建てて供養したという。 -
やかんころがし
この妖怪の姿形は伝わっていないが、金属音に近い身の毛もよだつ奇妙な音をさせる妖怪だという。
人を転ばせる妖怪には「転ばし」「転がし」という名前が付けられることも多いため、滝近くで狐(野干注:やかん。漢訳仏典に登場する野獣)に化かされて滝に転げ落ちる事を指してこの名前で呼ばれるようになったのでは、といわれている。 -
廻淵の蜘蛛
昔、ある木こりが山仕事を終えて廻淵のほとりまで降りてきた。彼が腰を下ろして休んでいると、ふと足の指に蜘蛛の糸が巻き付けられているのを見つける。不思議に思い糸を外すと傍らにあった巨木の切り株に糸をかけた。しばらくして山を下りるかと木こりが立ち上がりかけた時、先ほどの切り株が目に止まった。
切り株にはいつの間にか網のように蜘蛛の糸がぐるぐると巻かれていた。一瞬静けさが辺りを包んだかと思うと、蜘蛛の糸は切り株を引き倒し、そのまま淵の奥深くへと引きずり込んでいった。